2019年
11月
12日
火
皆さん、四角形をかいてみて下さい。
線を上から下、左から右へとひいていきますね。大人の方に描いて頂くと、ほとんどの方がそのようなひき方をします。なぜでしょう?
それは、私たちが、上から下へ、左から右へという空間の流れを身につけているからです。
でも、そのような方向性がない子どもたち(7歳以降の子)の中には、一筆書きでぐるりと四角を書く子どもがいます。
空間の方向の基盤がない子どもにとって、書き順を覚えることはとても大変なことなのです。
子どもの運動会に行くと、こんな姿がちらほら見られませんか?
みんなでダンスをしていて、くるりと回って右手に行かなければならない時に、くるりと回ったとたんに迷子になり、他の子どもを見て慌ててついていく。
空間認識の基盤が乏しい子どもは、みんなで何かに取り組む時に、他の子の動きをみて、やっと自分が動けるということがたくさん起こります。空間の中で容易に迷子になってしまうのです。
片付けられない子たちも、空間の中で迷子になっているのかもしれません。
そんな子どもたちにとって、学校での集団生活がどれだけ疲れることか。日常の空間の中で迷子になってしまうと、どれだけ不安で、どれだけ気が張りつめることでしょう。
学べるからだとは、空間認識が身に付いたからだです。
学びが始まる7歳頃に、身につけた空間認識を基盤として文字の書き順を身につけたり、計算をしたり、教室や運動場でみんなと学び遊びます。
エクストラレッスンでは、3次元空間にしっかりと立ち、主体的に動き学んでいけるように自分と空間との関係性を育てていきます。
参考文献
オードリー・E・マカラン (2010) 『エクストラ・レッスン』(冠木友紀子訳)みくに出版.
2019年
10月
21日
月
皆さん、自分の右手がどこにあるのか目で見なくてもわかりますか?
自分の手先、足先がどこまでなのか知っていますか?
自分がイメージしたとおりに手足が動きますか?
赤ちゃんは自分の手足がどこにあるのか、どこまでなのか混沌としています。お母さんに抱かれやさしく揺らされたり、重力を克服しながら動いたり、ものにぶつかったりしながら、自分の身体の地図を手にいれます。
その地図の書き込みが充分でない子どもは、動きがぎこちなかったり、力加減が分からなかったりして、さまざまなスキルを身につけることが難しくなります。
学べるからだとは、この 身体地図(ボディ・ジオグラフィ) をしっかり手に入れた身体です。
シュタイナー学校では、子どもたちが7、8歳になる頃こんな練習をします。
「右手で鼻の上(を触ってごらん)」「左手を左ひざ。」先生がこのような指示を出し、子どもたちはその通りにパッ、パッと動けるように練習するのです。(エクストラレッスンの本にも記載されています)
これは、自分の身体地図をより確かなものにするための練習です。子どもたちは大喜びで取り組みます。
エクストラレッスンでは、この練習に楽しく取り組めるように、そして、この練習が身に付くように、それ以前の発達段階から身体を整えていきます。
参考文献
オードリー・E・マカラン (2010) 『エクストラ・レッスン』(冠木友紀子訳)みくに出版.
2019年
10月
06日
日
私たちは誰でも苦手なこと、努力したにも関わらず克服できないことがあります。それは、運命によるものもあるかもしれません。けれども、発達、成長の道のりの中で何かやり残したことがあり、それが本来の能力の芽生えを閉じ込めている可能性もあります。
例えば、私は小学校の頃ソフトボールをしていました。ところが、ボールを投げればどこかとんでもないところへ飛んでいき、バットを握れば大根切り。父はよくキャッチボールをしてくれましたが、練習しているにも関わらず、自分でも信じられないところにいってしまうボールに私はがっかりしていました。自分はソフトボールは苦手、ずっとそう思っていました。ところが最近、甥とボールで遊んでいる時、「あれ、私、コントロールがよくなっている!」と感じたのです。ボールを投げるのは久しぶりでしたが、まっすぐ投げられるようになっていました。大人なのにうれしい、びっくり。(まだ、バッティングは試していませんが。)
私は直接ボールを投げる練習を重ねて来たのでなく、発達過程をたどり直すエクストラレッスンを子どもたちとしてきたのです。
エクストラレッスンを受けにきている高校生が、こんなことを教えてくれました。その生徒は平泳ぎが苦手だったのですが、「先生、今年1回も泳いでないのに、泳げるようになっていた」と。私はその言葉を思い出しました。こういうことなのかと。
エクストラレッスンは、誕生から7歳までの発達過程をたどり直すことで、学べるからだを整えていきます。学べるからだが準備できれば、自ずと何かを学び、練習の成果が身を結ぶようになっていきます。
とはいえ、このレッスンで何もかもうまくいくということではありません。私は万能なものはないと思います。そして、それが善いことでもあると思っています。それによって、その子どもに関わる大人たちがチームとなって共に子どもを支えていく、ということができるからです。そのチームで大切なメンバーの一人が、保護者であるあなたです。
これから、エクストラレッスンについてお話をしていきたいと思っていますが、子どもの抱える困難に対してエクストラレッスンが万能ではないということを、最初にお伝えしたいと思いました。どう万能ではないのか、その場合他のどんなことが助けになるのか、そして、学べるからだとはどういうことなのかを、これからお話していきたいと思います。
2016年
1月
08日
金
お正月に奄美大島に里帰りをしてきました。
今年はきっといい年になるよぉと、予感させてくれる奄美のお正月でした。
奄美には、美味しい有機の黒糖を作っている叔父がいます。
この黒糖、美味しすぎて大人気。親戚でも手に入りません。ホントに美味しい!
コーヒーを飲みながら、香ばしい黒糖をカリッ、最高です!
ついてる私たちが(本当についてるんです)叔父のところにあいさつに行くと、
なんと、できたての黒糖があるではないですか。やっぱりついてる〜。
黒糖の大きな釜の前で叔父がニコニコ笑顔で迎えてくれました。
さっそく、香ばしい香りに包まれながら、できたての黒糖を自分たちで袋に詰め、50袋頂きました。これは、講座に来て下さる受講者の方へのお土産。きっと皆さん喜んで下さるよ〜。
ニコニコ叔父に、美味しい黒糖をありがとうと言うと
「みんなから、美味しい黒糖を、ありがとう、ありがとうって言われると、生まれてきた意味を感じるちば」 (標準語でこんな感じ?)
それを聞いて、えー、そうなんだー、なんだか感動。89歳になる叔父が、ありがとうの言葉に生まれてきた意味を感じながら、お正月も返上で黒糖を作ってる。
皆さん、子どもにありがとうって伝えていますか?
どんな些細なことでもいいんです。子どもにありがとうって笑顔で伝えて下さい。
何かをもってきてくれたらありがとう。小さなお手伝いにもありがとう。
ブログを読んで頂いてありがとう〜!
2015年
12月
15日
火
羊毛を洗い、植物と太陽の光だけで染め、そこから糸を紡いでいく作業。
9月から始まった月1回のこの講座も、今日が最後でした。
作業をしながらお聞きする藤間さんの言葉の一つ一つに、自分がこれまでずっと考えていたこととのシンクロニシティを感じました。
ふわっとしていた羊の毛が寄り集まって1本の糸になる。
そこには、ものが集まり、方向性を与えられ、別のものになっていくというゼスチャーがある。
そのものがどんなふうになりたいのかをじっくり見つめ、その声を聴き、外側から少しだけ力を貸してあげる。それによって、内側にある力と共鳴し合い、ものはなりたい形に変容を遂げていく……。
私たちのやっている教育も、これと同じ。
子どもたちの内なる力を見つめ、そこにそっと寄り添うことで、一人ひとりの持つ素晴らしい個性が花開いていく……。
本質的なものを追求していけば、どんな道もどこかで一つにつながっていく。
そんなことを考えられた有意義な時間でした。
1月からは「編み物」編が始まります。
ご興味ある方は、ぜひご参加下さい。